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 スマトラ旅行記

                             

                 6日め・その1(1月3日)

 「マーケットは妖しい香り」(パダン)

 




 朝、ホテルのチェックアウト時に、「パダンへはタクシーで行きますか?」ときかれました。 オプレットでバスターミナルまで行き、そこからパダン行きのバスに乗ろうと思っていたのですが、パダン滞在は1泊だけ。 少しでも、時間が欲しいところなのです。タクシーのチャーター料は50,000ルピア(約2,250円)だとか。 タクシーを使えば、2時間は節約できるのでしょう。実質的にパダン観光に使える時間は、今日の1日だけなので、この2時間の差は大きいのです。 すぐに、タクシーを頼みました。


 パダンパジャンまでは、昨日とほとんど同じコースをたどりました。パダンパジャンを過ぎてからも、景色の良さは変わりません。 途中で、大きな滝を見ました。ガイドブックに出ているレンバー・アナイ自然保護区の滝なのでしょうか。 この近くには、ラフレッシアの花もあるはずなのです。


 車を止めようかとも思ったのですが、決断できないうちに、タイミングを失ってしまいました。 もっとも、気持ちとしては、一刻も早くパダンに着きたいという思いが強かったのですが。


 2時間ぐらい走り、平地に出ました。パダンが近づいてくるのです。広く、まっすぐな道になり、車は速度を一気に増しました。 無理な追い越しをかけようとして、何度もひやりとするのですが。


 そして、突然、大渋滞に遭遇しました。延々と車が連なり、動く気配がありません。しばらく様子を見ても、事情がつかめない。 やがて、後ろに並んだ車が、右側車線にはみ出して走り始め、そして、その車線が詰まってしまうと、さらにその右側にはみ出して、車が前に進もうとするのです。 片側1車線ずつの道に、3列並んでしまっているのです。


 やがて恐ろしい光景が目に入りました。反対車線の道の傍らに、バスが横転し、車体の一部が黒焦げになっているのです。 多くの死者や怪我人で出たのでしょう。これが渋滞の原因になっているのです。


 片側一車線ずつの道は、それぞれが3列ぐらいに並んでしまっているため、交通整理の警官も手がつけられない状態です。 結局、この事故で、パダン到着が何時間も遅れることになってしまいました。



 パダンは、インド洋に面したパダン州の州都。海洋性の気候で、ブキティンギと比べれば、日差しも強く、ずっと暑いところです。 街の中心を南北に貫くバギンド・アズィアチャン通り周辺は、とても美しい。インドネシアの地方都市は、都市計画がしっかりしているので、こぎれいな街が多いのです。


 美しい通りに面した美しいホテル、「ホテル・パダン」に午後2時半、チェック・インしました。 庭とポーチの着いた、エアコン・バスタブつきのダブル・ルームが78,000ルピア(約3,510円)。 渋滞で失った時間を取り戻すため、荷物を置くと、すぐに外に跳び出しました。



こぎれいで居心地の良いホテルパダン。パダンでの定宿となりました。


 ここの通りは、生活の臭いがまったくありません。 銀行やホテルや官庁が並んでいるだけ。通りを南に歩き、交差点を右に曲がると、賑やかな一角が見えてきました。 マタハリ・デパートと、その界隈にいくつかのマーケット・ビルが並んでいます。この辺りが街の中心なのでしょう。 さすがに州都の中心らしく、昼間から賑わいを見せていました。


 マーケット・ビルの2階で食堂を探したのですが、いくつかある食堂は、居心地の悪そうなところばかり。 廊下を歩いていると、物騒な顔をした客たちが、物騒な目つきでこちらを眺めます。


 通りに面したバルコニーを歩いていたら、いきなり女の子に手をつかまれました。 昼間だというのに、厚化粧をして、艶っぽく誘いをかけてくるのです。 よく見ると、そのあたりには、床屋が何軒も並んでいて、店の前では、厚化粧の女の子たちが、椅子に座って客をとっている。 アジアでは、床屋が風俗店をかねていることが多いのですが、昼間から、町の中心のマーケットで、ここまでおおっぴらに店を広げているのも凄いことです。


 結局、ちょっと怖気づいてしまい、マタハリ・デパートに逃げ込むと、ここの2階で遅い昼食をとりました。


 
             
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