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 スマトラ旅行記

                             

            2日め・その1(12月30日)

 「厳寒のスマトラで餓死寸前」(バタムからスマトラへ)

 

 

 
 7時40分にホテルをチェックアウトし、タクシーでワールド・トレード・センターへ。 2階のディノ・シッピングのオフィスで、バタム島へのフェリーの往復チケットを買います(30シンガポール・ドル、約2,340円)。 


 バタム島はシンガポールのすぐ南。40分ほどで、国際港のセクパンに着きました。 インドネシア入国は簡単で、税関のチェックもありません。 9時を過ぎているのに、なぜか、両替所が閉まっている。 スマトラでも、都市部ならシンガポール・ドルが使えるだろうと、気にせずに国内線の桟橋に向かいました。


  ペカンバルーへは、シンガポール通貨で20ドル(約1,560円)、インドネシア通貨では30,000ルピア(約1,350円)なのですが、 選択の余地がないので、しかたなくシンガポール・ドルで支払うことに。


  桟橋には3隻ほどの船が接岸していて、「ペカンバルー!」と叫ぶと、「こっちだ!」と合図がありました。


 船は200人程度は乗れそうな高速艇。 1階と2階のキャビンに分かれているので、喫水線に近い1階キャビンに乗り込みました。 時計を見ると、10時ちょうど。このとき、インドネシアとシンガポールの時差に気がつきました。10時ではなく、インドネシアでは、まだ、9時なのです 。両替所が閉まっていた理由がわかりました。


 インドネシア時間で9時ちょうどに、船はスマトラに向かって出発しました。


 高速艇はとにかく早く、高く舞い上がる水しぶきで、1階キャビンの窓からはなにも見えないくらい。 それにしても、寒い。冷房が効きすぎているのです。殺人的な寒さで、半ズボンとTシャツでは、耐えられそうもありません。 バッグから長ズボンとセーターを取りだそうと思ったのですが、大きな荷物は、まとめて屋根の上に・・・。


 このとき、ふと、成田まで着てきた冬物の衣類は、いっさい、シンガポールのホテルに忘れてきたことに気づきました。 この手の寒さに備えて、わざわざ持参したというのに、たいへん間抜けな話なのですが、よく考えれば、シンガポールに電話一本入れておけばいいだけの話。 かえって、これで、身軽な旅ができることになったというわけです。


  2時間ほどマラッカ海峡を疾走し、最初の寄港地に着きました。 しかし、名前もわかりません。ここは、もうスマトラなのでしょうか。 乗客の入れ替えがあったのをきっかけに、席を離れ、出口の扉の前に場所を移しました。 冷房の死角になっていて、ほんの少しだけ寒さが和らぎます。 


 こっそり扉を開けると、暖かい風と、川沿いの、マングローブの密林が視界に飛び込んで来て、 ああ、いよいよスマトラなのだ、という実感が・・・。


 朝の9時にバタム島を出た船は、午後1時時50分に終点のブトンに到着。 桟橋に上がると、2台のバスが止まっているので、「ペカンバルー、ペカンバルー!」と叫ぶほうに乗り込みました。 文字通り、田舎のおんぼろバスなのですが、冷房で冷え切った身体には、ノン・エアコンがなによりありがたい。


  セクパン港で買った船の切符は、ペカンバルーまでのバス料金も含んでいます。 超満員のバスは、午後2時ちょうどに出発すると、原生林を切り開いた簡易舗装の道をひたすら走り続けました。 路面状態は劣悪で、居眠りしていると、窓ガラスに何度も頭をぶつけてしまう。景色は単調で退屈。 ペカンバルーまでどのくらいかかるのかもわからない。1時間くらいかな? と、漠然と考えていたのに、どうやら、そんな安易な話でもなさそうで・・・。


 3時40分に、沿道のひなびた集落の前でバスが止まると、乗客全員、数件並んだ小さな食堂に入って行きました。 朝からなにも食べていないので、さすがに空腹が激しいのですが、シンガポール通貨は受け付けてもらえません。 銀行もないような田舎の村では、外<国通貨はまず無理でしょう。しかし、こちらは、もう、飢え死に寸前なのです。


 このとき、前回の旅行で残った僅かなルピアの存在を思い出しました。財布の中を探すと、なんと、1,500ルビア(約67円)も出てきました。 67円と言えば、インドネシアでは一財産で、マンションの1室ぐらいは買えるのでしょうか。


 テーブルに2つ残っているバナナの値段をきいてみました。1本150ルピアということで、2本丸ごと買い占めてしまう。 これで、飢え死にだけは免れそう・・・。しかし、スマトラに来て、寒さや飢えに苦しむとは・・・。 


 ペカンバルーには午後6時に着きました。バタムを出てから9時間、シンカポールから数えると、10時間を越える長旅です。


  ペカンバルーはリアウ州の州都。 ジャングルに突然出現した町という風情なのですが、インドネシアの地方都市らしく、中心部はよく区画されていて、なかなか美しい。 バスターミナルから町の中心までは、タクシーで5分ほどです。


 「町の中心に位置し、とてもフレンドリー」とロンリー・プラネットで紹介されていた「スリ・インドラヤーニ・ホテル」にチェック・インしました。 町いちばんの老舗ホテルで、スタッフは確かにフレンドリー。大きなキングサイズ・ベッドと大きなバス・タブの着いた、広くて心地よい部屋が50米ドル。 僅かですが、ディスカウントもしてくれたりで・・・。


 暖かいお湯にたっぷり浸かっていると、長旅の疲れが吹き飛んで行く・・・。
             
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