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 スマトラ旅行記

                             

                5日め・その2(1月2日)

 「芸術家のたまごたち」(パダンパンジャン)

 


 
 パダンパンジャンは小さな町なので、中心部だけなら、1時間もあればおおよそ歩きつくしてしまう。 ガイドブックにも地図が載ってないので、お目当てのASKIの場所がよくわからないのですが、たまたま警察署の前から出てきた男性に訊ねたら、 「このすぐ近くだ」とのこと。 言われたとおり、2〜3分歩いたら、広い敷地の中にあるミナンカバウ風の建物群に行き着きました。



イスラム色豊かなパダンパンジャンの町

   
  「ASKI」とは、「Academika Seminar Kesenian Indonesia」の略。 「インドネシア芸術学院」とでもいうのでしょうか。 お正月休みなので、閑散としているのですが、それでも、いくつかの教室では、ダンスやガメラン演奏の練習に、学生たちが汗を流しています。



レッスン中のASKIの学生。この人も美人でした


 最初はおずおずと、やがては大胆に教室の中に入って行き、カメラのフラッシュを焚くのですが、 叱られることもなく、かえって、みんな楽しそうに笑っている。 しかし、さすがに教官の方たちには申し訳なく、写真を撮った後は早々に教室を出て、外から練習風景を観察していました。


 学内を再び歩き始めたら、カメラをぶら下げた中年の男性に声をかけられました。


 「日本の方ですか?」と、たどたどしい日本語で話しかけてきます。見るからに、穏やかなミナンカバウのジェントルマン。


 「はい、そうです。」と、こちらも模範的な日本語で返事をして、その後は、久しぶりに日本語の会話を楽しむことに・・・。

 

              
カメラマンのエディーさん

 
 その男性はエディーさんといって、この町のカメラマン。 卒業写真や舞台公演中の写真を学生たちに売りにきたところらしい。このあたりでは、まだ、個人のカメラ所有率は低いのでしょうか。 いっしょに歩いていると、学生や教員たちが寄ってきて、商売繁盛の様子。おかげで、こちらも学生たちといろいろ話す機会を持つことができました。

 

ASKIの学生たち

 
 エディーさんに学内を案内してもらい、その後、学食でお茶を飲みました。 たまたま、居合わせた学生たちとも、エディーさんの通訳で話が弾みます。 中に、なかなかの美人がいて、彼女はかなり上手な英語を話します。英語歴3ヶ月というのですが、とてもそうとは思えない流暢さ。


 スクミという名で、ミナンカバウ舞踊を勉強している。3年のコースの2年目で、卒業後はジョグジャに行って、さらに勉強したいということ。 意志の強そうな女性で、将来は、きっと美しいミナンカバウ舞踊を見せてくれるのでしょう。いつかきっと、成長した彼女の踊りを見てみたいのですが・・・。

 
ミナン美人のスクミちゃん。芳名帳に御記帳ありがとう。

 


 さよならを言ったとき、「私のこと、忘れないでね。」と、可愛らしい笑顔でお願いされました。 勿論、あんな素敵な女の子のこと、忘れることなど絶対にないでしょう。


  ASKIを後にして、エディー氏と町に向かいました。ASKIには、日本人の女性も留学していて、2年間、舞踊を勉強しているというのです。 寄宿舎にいるから、会いに行こうということでした。ジョグジャならともかく、パダンパンジャンで日本人が勉強しているとは!  詳細はわからないけど、スマトラ旅行のさいちゅうに、たまたまミナンカバウの舞踊を見て、その美しさ、優雅さに魅せられてしまったのでしょう。


  残念ながら、その日は、パダンに出かけていて、会えずじまい。「お元気で、御勉学に励んでください。」というメッセージを残して、寄宿舎を離れました。


 ブキティンギに帰ったのは、すでに6時近く。そのまま、時計台に行き、マーケットビルのロダ・グループ・レストランで夕食をとりました。 場所がら、欧米人の客も多く、英語のメニューも置いてあります。 御飯、チキン・カレー、野菜スープ、フルーツサラダ・ヨーグルト添えを頼んだら、どれもとてもおいしい。 特に、ヨーグルトは絶品で、ヨーグルトの本当のおいしさを知りました。


  とても足りないので、さらに、ムラタバと山羊のカレー、ミルク・ティーを追加注文したのですが、それでもしめて、7,700ルピア(約346円)です。


 満腹になり、気分良く外に出たら、いつの間にか空は真っ暗になっていました。 夜の闇ではなく、深く重い雨雲で、すでに小雨がぱらつき出している。パダンパンジャンでは、久しぶりの快晴だったのに・・・。


  マーケットを出た瞬間に、小雨が豪雨に変わりました。こうなっては、しばらく動きがとれません。マーケット横に出ている屋台に腰を降ろし、しばし雨宿り。 買い物帰りや仕事帰りの人たちも、軒下やマーケットの中で立ちすくんだまま、雨足の行方を追っています。 やがて、気の短い人たちが、スコールの中へ跳び出して行き・・・。


  屋台では、すでにアセチレンランプが点っていて、夕闇の中、あちこちの屋台で、ほのかな薄明かりが、色のついた飲み物や、甘酸っぱそうな砂糖菓子や、 バナナの揚げ物やサティの串刺しを照らし出している。


  屋台の椅子に腰を降ろしたまま、雨が上がるまで、この風景を楽しみ続けました。



             
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