スマトラ旅行記
5日め・その1(1月2日)
「牧歌的な午後、芸術の町へ」(パダンパンジャン)
目が覚めたら、もう11時。成田以来の疲労と寝不足がどっと出て、昏々と眠り続けしまったのです。 前夜、買っておいたパンとオレンジ・ジュースで遅い朝食を済ませたら、12時になるところ。 旅行代理店の主催するブキテインギ周辺1日ツアーは、もう、無理でしょう。 今日1日、どう過ごすか、ガイドブックを見ながら考えました。簡単に行き、帰ってこれるのは、パダンパンジャンぐらいでしょうか。 ロンリー・プラネットでは、こう紹介されています。
「パダンパンジャンは、パダン−ブキティンギ間の中心的な町で、午後や朝の小旅行には格好の場所である。 ミナンカバウの文化、舞踊、音楽など、伝統芸能の保存のために設立されたASKIというアート・カレッジがあり、 ここでミナンカバウ舞踊のライブや劇場公演の正確な情報を得ることができる。 民族楽器やガメランなどの立派なコレクションもあり、伝統衣装の陳列も素晴らしい。」
ホテルを出て、オプレットを拾い、9kmの道のりを1時間かけて行きました。 この間の景色は、牧歌的で本当に美しい。ブキティンギの町はずれで、灌漑用の溜め池の上に建てた家々を見ました。 背後には水田が広がり、緑の稲穂が、午後の暖かい風に揺れ、水牛がのんびりとうたた寝をしている。 自然と人々の生活が一体化した、穏やかで、力強い光景です。
途中、闘牛で有名なコト・バルの町を通り過ぎました。 山の中の小さな村という感じなのですが、ブキティンギからは簡単に行ける距離。 次回はぜひオートバイで来てみたい!
1時間の小旅行の間、風景は刻々と変わり、退屈することがありません。道の横には、廃線になった鉄道のレールが走っています。 今でも、パダン−パダンパジャン間ではSLの貨物列車がときどき走り、旅行者が蒸気機関車をチャーターすることも可能だとか・・・。
やがて、パダンパンジャンの町に着き、400ルピア(約18円)払ってオプレットを降りました。 ブキティンギよりずっと小さな町だけど、ミナンカバウの町らしく、中心部は大小さまざまな商店やマーケットで、活気と賑わいを見せています。 マーケットの一画に馬車のターミナルがあり、馭者がのんびり客待ちをしていました。カメラを向けると、にっこり笑い、わざわざ、走るふりまでしてくれました。
西スマトラでは一般的な乗り物となっている馬車(左)とカラフルなストール(右)
インドネシアの人たちは、ほんとうに写真が好きなのです。 カメラを向けて、嫌がられたことがありません。カラフルな果物のストールの写真を撮ると、隣のストールからも「撮ってくれ」というリクエストがありました。
パダンパンジャンの町をジャランジャラン(散歩)していると、バスターミナルの近くで、ミナンカバウ・スタイルの建物が目に入りました。 民家ではなく、博物館風の建物で、中を覗いていたら、若い女の子たち数人が顔を出し、笑いながら手を振っています。 手招きしている様子なので、よくわからないまま、中に入って行くと、どうやら、裁縫工場らしい。 広いホールに20〜30台のミシンが置いてあり、女の子たちが、ミシンに向かってウェデイング・ドレスを縫っているところ。 中に一人、少し英語のできる女の子がいて、しばらくお喋りを楽しみました。その子の英語がほんとうに通じることがわかって、みんな感心している様子。 このあたりは、日本の事情とほとんど同じなのでした。
ミナン風スタイルの裁縫工場とお針り子さんたち
騒ぎを聞きつけて、経営者らしき男性が顔を出したのですが、挨拶すると、なにやらうなずいたまま、姿を消しました。
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