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第7話   ペナンの中国人・1


 マレーシアの半島部は、何度かにわたる旅の中で、西海岸も東海岸も、北から南までひととおり歩いているのですが、いちばん思い入れの深いのがペナンです。 もうずいぶん前のことになるのですが、初めてペナンを訪れたときのことが忘れられません。

 ちょうどアジアに目覚め始めた頃のこと。 タイの南部を旅した後、ハジャイから乗り合いタクシーでペナンにやって来ました。 タイにいる間はずっとタイ人の友だちがいっしょだったのですが、ハジャイからは初めてと言ってもいい一人旅。 アジアなら、自分の足でどこまでも歩けるという自信を持つことのできた旅でもありました。

 乗り合いタクシーで同行した胡散な乗客たちに気圧されて、何時間もの間、まんじりともせずに無言を決め込んでいたベンツでの旅。 ジョージタウンから初めてひとりで公共のバスに乗り、ペナンヒルへたどり着いたときの喜びとか、 ガーニードライブのホーカーズ・センターで、夜の海を見ながらシーラ・マジッドに聴き入ったときのこととか、 振り返れば、あれは、もう随分昔のこと。




山間の村の道教寺院で見かけた中国人



 この写真は2回目に訪れたとき、オートバイを借りてペナン島を1周したときのものです。バトゥー・フェリンギの先、テロック・バハンのあたりから南に向かって山を登り、ワインデイングの続く下り坂を降りきったあたりで見つけた中国人の村落。いつものように中国人学校があり、その向かいの道教寺院に集まっていた中国人の一人です。

 陽気にお喋りなどしていたのですが、カメラを向けたら、このおじさんが立ち上がり、まじめな顔でポーズをとってくれました。

 



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