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第5話   お茶漬けの効用

 日本にいるよりも外国を旅しているときのほうが、心身ともに健康なのですが、それでも長い間には旅先で体調を崩したこともありました。食あたりも3回ほど経験しています。

 これまで、いちばんひどい思いをしたのが、マレーシアのパンコール島。昼食の蟹にあたり、胃をやられました。夕方ぐらいから吐き気がとまらず、おまけに、「せっかく島に来たのだから」と、島1周するボートに乗ったものだから、もうとまらない。1時間ほどのクルージング中、荒波に揺られ、ボートの上でぐったりと・・・。

 夕食は口に入らず、日本から持参した胃腸薬を飲み続けながら、一晩中、ベッドの中で七転八倒。朝まで一睡もできませんでした。




パンコール島に、なんと万里の長城が!


 なんとか回復したのは翌日のお昼頃。ローストビーフのサンドイッチを水で流し込むと、旅を続ける気力が再び甦ってきました。当初の予定では、朝、島を出て、バスでペナンに向かうはずだったのに、もう間に合いません。急遽予定を変更し、飛行機を使うことに。

 夕方島を発つ13人乗りの小型飛行機に乗り込みました。客といえば、僕のほかには、中国系のカップル2人だけ。3人で世間話に昂じていると、あっという間にペナンです。



ペランギ航空の可愛い小型飛行機


 ホテルにチェックインし、すぐに向かったのが日本料理店。ここでお茶漬けを食べたら、食道あたりにべったり貼り付いていた病原菌や悪い油が、お茶と一緒に、すーっと洗い流されたよう。瞬間的に全快です。

 ただ、油ものは胃が受け付けず、ペナンにいる間、毎回日本食を食べることに・・・。三流どころの日本料理屋の刺身など、本当はずっと危ないのでしょうが、炒めた蟹のあの恐ろしさが脳裏に焼き付いて、ついつい足が日本料理屋に向かってしまうのでした。

この話のポイント及び展開:
 お茶をご飯にかけて食べる民族は、世界広しと言えども、日本人だけではないかという気がします。中国人は、烏龍茶をご飯にかけて食べたりするのでしょうか? 「中華料理の後は、やっぱりお茶漬けだよな。」とかなんとか言いながら・・・。

 イギリス人は、マフィンを紅茶の中に漬けて、食べたりするのでしょうか?

 ペプシが大好きなタイ人も、さすがにペプシをご飯にかけては食べないようです。汁をかけて食べるのは大好きなようですが、これは、米食民族に共通の現象ですね。


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