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その12

【沙面島】
  広州の街の中心は、珠江沿いのデパート、南方大厦のあたりなのでしょうか。この南方大厦から西へ2〜3分歩いたあたりに、人工の島、沙面島があります。

 18世紀中頃、外国人貿易商のための倉庫用地として埋め立てが始まり、阿片戦争後、英仏に割譲されました。

 東西に900メートル、南北に300メートルのこの埋立地には、コロニアル風の、古い建物がたくさんあり、現在はもっぱら、住宅やオフィスに使われているようです。

 沙面島は、宿泊施設も充実していて、夜明珠酒店(パール・イン)や勝利賓館(ビクトリー・ホテル)は、そのコロニアル風の外観を見る限り、泊まってみたくなるような魅力を秘めています。バックパッカーのたまり場、広州青年招待所もこの一画にあるせいか、欧米人の人口比率がとても高い。このあたりが、広州で、もっとも国際的な雰囲気の場所かもしれません。


沙面島
国際色豊かな沙面島


 80年代に建設された白天鵝賓館(ホワイト・スワン・ホテル)は、沙面島では唯一の4つ星級ホテルで、35階建ての威容を誇ります。グランド・フロアのコーヒー・ハウスは、そのまま珠江に面していて、雨に降られた午後のひとときは、ここでずっと珠江を眺めて過ごしていました。


【不人気パンダ】
 前回も今回も、広州は、中国旅行の最後に訪れました。この頃になると、気持ちがマンネリ化してきて、好奇心もやや中だるみ。広州は見所の多い街なのでしょうが、あまり出歩くこともなく、珠江沿いのエリアをぶらぶらしているうちに1日の大半が終わってしまう。それはそれで、楽しくはあるのですけど。

 2日目の朝は、動物園に出かけました。動物には、あまり興味はわかないのですが、パンダを見ておけば、とりあえず広州に来たことが正当化できるから。中国の中では、品揃えの良さで評判の広州動物園。でも、シンガポールの動物園から比べると、見劣りするのは否めません。

 虎やライオンといった定番ものは素早くパスして、「大熊猫」の檻を目指しました。近ずくと、黒山の人だかり。さすがパンダ! と思ったら、実は単なる猿山で、肝心のパンダの檻の前には、人がいません。パンダ自身も、所在なさそうにただ寝転がっているだけ。

 上野動物園のパンダも、あれはあれで可哀想なものがありますが、不人気のパンダというのは、なにかとても寂しい感じです。

 しばらく眺めていても、特におかしいこともなく、やがて、その場をそっと離れました。 (次回大団円)



  



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