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その10

【美人魚美容城】
  広州に移る前に、汕頭の章でこれまで書き漏らした、2、3のことを雑感的に記しておきます。

 汕頭の街の古い部分には、なぜか、特殊理髪店が多く、夜になると、赤や青のチープな電球の光が、あちこちで妖しく輝きます。集合住宅1棟に1軒はあるという感じ。僕の泊まったホテルのすぐ裏手は、集合住宅密集地域なので、右を見ても左を見ても特殊な床屋さんだらけ。

 売買春が、完全に日常生活の中に根づいているのか、あるいは、僕のほうに、なにか根本的な部分での勘違いがあるのか。いずれにしても不思議な光景でした。

 で、店のネーミングなんですけど、「青春理髪」とか「美人魚美容城」とか、結構遊んでいて、これは楽しめました。「男女理髪 金玉」なんて、ことがことだけに、日本人には爆笑もののネーミングです。

 公営住宅の1室で、
 「母ちゃん、階下の『青春理髪』行って、さっぱりしてくるから、こづかいくれよ。」
「おまえ、あんまり床屋ばかり行ってないで、まじめに勉強しなきゃだめだよ。」

 なんて会話が、思春期の息子と母親との間で交わされているのでしょうか。


【本物の美人魚美容城】
 某一流ホテルのフィットネス・センターのサウナに行きました。ここで、健全なほうのマッサージを受けたのですけど、このマッサージ嬢が大変な美人!

 面長で小さな顔。色は抜けるように白く、切れ長の目をした髪の長い美少女で、高貴な顔立ちは、佳人という言葉がぴったりとあてはまる! その女性を見た瞬間、震えが走ったほど。

 北方系の顔立ちなのでしょうか? 今まで、福建や広東、あるいは香港や東南アジアで見てきた南方系の顔とは明らかに違います。

 英語はまったく通じないのですけど、「Beautiful」という言葉だけはわかるらしく、下から見上げながらこの言葉をつぶやくと、嬉しそうに微笑んでいました。

 終わった後、ほんの少しだけどチップもあげたら、小躍りするように喜んでいて、その姿は、まだあどけない少女そのもの。女性の持つ2面性と、中国女性のレベルの高さを再認識しました。


【人は左で、車は右】
 中国では、車は右側通行で、これに慣れるのにちょっと時間がかかりました。今まで訪れたアジアの国はすべて日本と同じ、左側通行だからです。

 通りを横断するとき、いつもの習性で、ついつい右側から眺めてしまいます。そして一歩踏み出しながら左を見ると、車やバイクがもの凄いスピードで走ってくるので、慌てて歩道にかけ戻ったりとか、最初のうちはかなり戸惑いました。

汕頭では、ロータリーとか、三斜路とか、変な形の交差点が結構多く、そのうえ、自転車やトライショーはルールを無視して勝手に走り廻っているので、混乱に拍車がかかります。

 東南アジアの大都市では、一方通行の道路が多いので、横断しようとする歩行者には楽なのですが、汕頭は、なまじ印象がバンコクに似ているため、ついつい一方通行的な感覚で横断しようとし、怖い思いをしたりとか・・・。

 そう言えば、返還後の香港は、50年間は既存の制度が守られるということですが、その後は、やはり「人は左、車は右」の世界になるのでしょうか? (つづく)

  



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