東南アジアで成功した中国人に対する偏見の強さに驚くことが、しばしある。非情で強欲、無知な現地人を騙して搾取するという、ステロタイプのイメージをそのまま口にする日本人が実に多いのだ。もう何年も前のことだが、インドネシアの反スハルト暴動が、いつものように反華人暴動に転化したとき、ニュースキャスターのひとりは、襲われる中国系住民に問題があるかのようなコメントをしていた。特定民族に対するあからさまな人種主義的偏見も、こと東南アジアの中国人に対しては、マスメディアで公に口にできるのが、日本の現状なのだ。
サイブリで一宿一飯の世話になったキアパクディー氏は、そのようなステロタイプの華人イメージとはいっさい無縁の人だった。温厚で誠実、遠来の客に対するこまやかな気配りは、東南アジアの中国人の多くに共通する資質なのだ。
中国系の網元。温厚な人柄で、イスラム系の漁師たちの受けもいい。
サイブリのような場所で成功を収めることのできる資質こそ、中国人の中国人たる所以なのかもしれない。
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