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第18話   サイブリ・その7


 民族や文化、宗教は異なっていても、彼らの国籍がタイ人であるということは動かせない事実であり、それ故、子供たちはタイの学校に通う。ここで、彼等らはタイ語を習い、タイの歴史を学習し、タイ人に仕立て上げられて行くのだが、無論、事はそう簡単に運んでいるわけでもない。分離独立ということをどれだけの人間が信じているのかはわからないが、少なくとも、タイ人であることに満足しているモスリムは決して多くはないのだろう。






 

 学校とは別の、彼等独自のコミュニティで、子供たちは自分たちの言語、ジャウィ語を学ぶ。黒板をよく見ると、英語のアルファベットとは別に、アラビア語の文字が書かれているのがわかる。彼らの言葉は、元来、アラビア文字で綴られていたのだ。コーランの勉強でもしているのだろうか。









 

 

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