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第12話   サイブリ・その1


 ノースウェストで、夕刻、成田を発ち、バンコクで1泊した。翌朝、タイ・エアーでハジャイに飛んでポム一家と再会を果たすと、午後のバスでサイブリに向かう。パタニから国道42号線を50kmほど南下し、途中、タイ湾沿いに進路を変えれば、やがてサイブリ川が海と交わるところに、サイブリの漁村が現れる。24時間前にいた横浜の街とはなんという違いだろう。いや、2〜3時間前にいたハジャイの街でさえ、遥か遠くの世界のように思えるのだ。世界の最果てというイメージがこのモスリムたちの漁村にはある。

 人口の80%以上がイスラム教徒というタイ南部4県の中でも、この村のモスリム人口は跳び抜けて高いのだろう。女たちはみな、スカーフで髪をかくし、男たちはマレーの民族衣装、サロンに身を包む。タイ人も中国人も、ここでは影が薄い。






 ナラティワートまで続く、白い美しい砂浜で、モスリムの女が魚のすり身をバナナの葉に包んで焼いていた。マレーシアと国境を接するナラティワート県まで、あと10kmもないのだ。







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